政府・防衛省は2018年12月14日、新基地建設のために辺野古の海に土砂投入を開始した。これは県民総意を踏みにじり、違法・脱法行為を重ねたうえの暴挙にほかならず、断固抗議する。
沖縄県は8月31日、県民の総意と急逝した翁長前知事の強い遺志を受け継いで辺野古新基地の埋め立て承認を撤回した。そして、圧倒的な県民の支持を受けて9月30日に誕生した玉城デニー知事は、国との協議を申し入れた。それに対して防衛省は10月17日、私人になりすまし、国土交通相に対し行政不服審査法に基づく審査請求と撤回効力の停止を申し立て、効力の停止を決定させた。この違法・無法な決定に対し、沖縄県は11月29日、国地方係争処理委員会へ審査を申し出たにもかかわらず、その判断を待つことなく、政府・防衛省は12月14日、辺野古の海への土砂投入を始めた。
工事の進む辺野古と大浦湾は、ジュゴンをはじめサンゴ・海草など貴重な生物が生息する海域でもある。沖縄県と県民の願いを無視した政府・防衛省の強権的な工事再開は、取り返しのつかない自然破壊であるばかりか、2000年に改正された地方自治法の趣旨である、地方自治体と国は対等平等という国・地方の関係にも抵触する重大な地方自治破壊の行為である。米軍基地が集中する沖縄県民の苦しみは耐え難いまでになっており、また基地の存在が沖縄の社会・経済発展の足かせになっていることは、今年7月の全国知事会「日米地位協定の抜本見直し」等を求める決議にも明らかである。政府・防衛省の暴挙は、沖縄ばかりでなく、日本の地方自治全体への攻撃だと言わざるを得ない。
私たち自治体問題研究所は、ながく地方自治・住民自治の充実・発展を希求してきた立場から、この間の政府・防衛省の強権的な行為に強く抗議するとともに、政府・防衛省に対して、沖縄県民の要請に応え、直ちに土砂の投入を中止し、辺野古新基地建設を断念するよう求めるものである。
2018年12月28日
自治体問題研究所理事会
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