会員、読者のみなさん、新年おめでとうございます。2019年の年頭にあたり、ごあいさつを申しあげます。
昨年は、大阪北部地震、西日本豪雨、台風21号災害、北海道胆振東部地震などが連続し、多くの尊い人命や人間らしい暮らしが失われた災害の一年でした。西日本豪雨の最中に行われた「赤坂自民亭」は、為政者がだれのための政治をしようとしているかを如実に示しました。9月末の自民党総裁選挙で、選挙ルールを変えて3選を果たした安倍晋三首相は、いよいよ宿願の憲法「改正」に向けて、強引にかじを切りつつあります。
しかし、韓国では、「ろうそく革命」によって誕生した文在寅大統領が、南北・米朝会談を実現し、核戦争の危機から脱して朝鮮半島の平和に向けた確かな一歩を刻みました。日本、とりわけ沖縄における米軍基地の意味が喪失しつつある情勢です。そのことに最も敏感な沖縄県民は、辺野古基地建設を止めるために命を賭して闘った翁長雄志前知事の遺志を継ぐ玉城デニー知事を誕生させました。それは、豊かな自然環境のなかで基地のない平和な暮らしを求める「オール沖縄」の勝利であり、沖縄県の自治権を奪い取ろうとする中央集権的な安倍政治に対する地方自治の勝利だといえます。
一方、安倍政権は「人口減少」を錦の御旗に「自治体戦略2040構想」を打ち出し、小規模市町村の権限を奪って中心都市に行政・経済機能を集中させる「圏域」行政の法制化や、AIの導入によって公共サービスの産業化を図り、将来的に地方公務員を半減させる「地方統治構造」改革を第32次地方制度調査会に提起しています。そこには、憲法上保障された団体自治や住民自治への視点は欠落しており、地方自治関係者から強い批判の声があがっています。
現在、「コンパクトシティ」の名による開発ラッシュが全国に広がっています。これに対して、各地で開発に反対し福祉の向上を求める住民の運動が広がっています。鳥取県では、昨年11月に「とっとり地域自治研究所」が設立されました。グローバリズムが生み出す矛盾に対抗する多数者のための政策を実現する運動は、各国に広がっています。
今年は、統一地方選挙と参議院選挙があり、悪政を断ち切る絶好のチャンスです。併せて憲法を暮らしに生かす地方自治の充実と地域づくりがこれまでになく求められています。自治体問題研究所は全国の地域研究所とともに、そのための調査研究、政策提案活動に一層力を入れていく所存ですので、今年もよろしくお願いいたします。