災害時代を生きる条件

住民自治・普遍主義・ケア実践

    災害時代を生きる条件
    書籍名 災害時代を生きる条件
    著者名等 高林 秀明 (著)
    価格 ¥2,970(税込)
    発行年月日: 2025年3月31日
    ISBN-10 4868260014
    ISBN-13 9784868260011
    C-CODE C0036
    ページ数 266ページ
    本のサイズ A5

書籍の内容

阪神・淡路大震災から30年。中越・東日本・熊本地震、西日本豪雨、そして能登半島地震。日本列島はまさに「災害時代」の真ん中にある。

阪神・淡路大震災から30年。中越・東日本・熊本地震、西日本豪雨、そして能登半島地震。日本列島はまさに「災害時代」の真ん中にある。著者は被災地に出かけ、被災者の声を、苦悩の中で生きる声、抵抗の声、人間の声として聴く。そこから、被災者の暮らしと自然、社会、制度、地域との関わりを捉え、災害対応を含む社会制度のあり方を問う。

目次

  • はじめに
  • 第1章 能登半島の多重・複合災害が問いかけるもの

    第1節 過酷な避難生活

    • 1 過酷な避難環境
    • 2 在宅避難者
    • 3 ビニールハウス避難や車中泊
    • 4 避難所の集約・縮小、そして豪雨災害

    第2節 仮設住宅の被災者の状況

    • 1 建設型仮設の現状
    • 2 狭い仮設住宅がさらに狭く
    • 3 戸別訪問と交流支援と相談活動
    • 4 みなし仮設の現状

    第3節 自治の軽視と豪雨災害

    • 1 管理されるボランティア
    • 2 国主導の復興計画
    • 3 自治の視点の乏しさ
    • 4 地震想定の矮小化
    • 5 復旧・復興途上の9月奥能登豪雨災害

    第4節 問われているもの

    • 1 生存ライン未満の環境
    • 2 自尊・他者尊重の社会的基礎の条件整備の乏しさ
    • 3 「分離・自立」から「つながり・相互依存」へ

    第2章 住民自治による避難所運営ー熊本地震の実際と教訓

    第1節 住民自治の実際

    • 1 熊本地震直後
    • 2 自治組織の立ち上げ
    • 3 班をつくりコミュニケーションができる
    • 4 朝夕に手づくりのあたたかい食事を
    • 5 救護班の活動、障害のある人や高齢者、乳児などの支援
    • 6 物資と食事を地域で配るー避難所は復旧・復興の一つの拠点

    第2節 地域復興の拠点としての避難所と併設のボランティアセンター

    • 1 避難者の帰宅の手伝いから始まる
    • 2 地域のニーズに応える
    • 3 サテライトとしての役割ー市災害ボラセンとの連携
    • 4 自治会ごとの動きー日頃の活動のあり様が災害時に現れる

    第3節 地域福祉の視点からみた避難所運営とその課題

    • 1 いのちと暮らしを守る住民自治によって地域の復旧・復興の拠点として
    • 2 避難所の集約・閉鎖と今後の課題
    • 3 なおも埋もれている課題

    第3章 みなし仮設の健康・生活と復興施策の課題

    第1節 みなし仮設住民の生活と健康

    • 1 みなし仮設とは
    • 2 健康の全般的状況
    • 3 事例からみたみなし仮設住民の生活と健康
    • 4 健康、生活、地域、アイデンティティのトータルな課題

    第2節 地域支え合いセンターの役割と課題

    • 1 スタッフの量と質
    • 2 交流支援の弱さ、自治の視点の欠如

    第3節 自治体行政の責任・役割と課題

    • 1 地域支え合いセンターの条件整備の問題
    • 2 交流支援と自治活動支援の欠如
    • 3 硬直的な運用
    • 4 延長要件による大量退去

    第4節 みなし仮設からみた復興施策の課題

    • 1 異質な「空間の質感」への転居という経験
    • 2 行政・政治によるみなし仮設の「分離」と「隔離」
    • 3 被災者の自治活動への行政・議会の無理解・無関心
    • 4 被災者と政治・行政の間の共有できる言葉と舞台の欠如
    • 5 異質な二つの領域をつなぐために

    第4章 被災者の健康と生活からみる社会保障の問題

    第1節 分析視点

    • 1 被災者の「生活問題」とは何か
    • 2 被災者の生活再建に関する制度

    第2節 被災者の健康と受診控え

    • 1 被災者の健康状態
    • 2 被災者はどのような生活のなかでいかに受診を控えているか

    第3節 被災者の暮らしと健康の実態

    • 1 被災者の暮らしの面での困りごと・不安
    • 2 生計中心者の健康状態
    • 3 家計からみる生活実態
    • 4 健康保険の種類と負担感
    • 5 医療費の窓口負担と受診の状況、免除措置継続の意向

    第4節 社会保障と災害救助・生活再建支援の制度の構造的問題

    • 1 受診控えによる医療費の切り詰めを強いる構造
    • 2 もともと高い保険料と受診控え、特例廃止後に治療中断、減免措置は機能せず
    • 3 免除措置復活の運動と限界
    • 4 災害時代の制度改革ー選別主義から普遍主義へ

    第5章 関係性の断絶と権利としての関係保障の条件整備

    第1節 制度による関係性の断絶

    • 1 仕事も家もペットを失い、住家損壊調査をめぐる奮闘
    • 2 高齢夫婦の過酷な避難生活と立ち退きの苦しみ

    第2節 ボランティア活動における関係性の断絶と創造ーコロナ禍の熊本豪雨

    • 1 発災から2か月間
    • 2 9月からの4か月ー避難所から仮設住宅へ
    • 3 2021年の5か月間ー第3波・第4波の下
    • 4 コロナ禍の災害ボランティアに突きつけられたもの

    第3節 関係性の断絶から自尊の社会的基礎の保障を

    • 1 主体性の管理、承認の歪み、自尊の毀損
    • 2 災害時の承認の秩序、規範的要求の水準
    • 3 自尊の社会的基礎である雇用・労働条件と社会制度
    • 4 対話・協力の社会的構造と政策的意図
    • 5 地域活動・ボランティア活動の管理と権利としての関係保障との違い

    第6章 災害時代を生きる条件ー関係保障・普遍主義・ケア実践

    第1節 権利としての関係保障の条件整備を

    • 1 対話と交流が暮らしと健康を守る
    • 2 相互承認と自尊他尊は異なる立場を超えてつながる力/連帯の土台

    第2節 社会政策・社会保障を普遍主義に

    • 1 社会政策の普遍主義
    • 2 災害時代こそ普遍主義を
    • 3 選別主義傾向が強い「受け皿」制度の改善は基本的対策の拡充運動と一体的に
    • 4 自治体行政、ケースマネジメントは個別支援と社会運動の両輪で
    • 5 関係保障と普遍主義の制度の担い手の量・質の確保を

    第3節 ケアの倫理を制度・運営の軸に

    • 1 被災者の苦悩と倫理の問題
    • 2 家父長制規範の濃い行政・制度に欠けるもの
    • 3 私たちの社会と道徳性とケアの倫理
    • 4 ケアの倫理と実践を制度・運営の論理に

    おわりに

    引用文献

    あとがき