いま焦点の大都市制度改革、自治体間連携を 住民自治の視点から解き明かす待望の新刊書
「大都市制度、特に指定都市制度は、特別市運動を断念した大都市側の『妥協の産物』であり、大都市固有の制度ではなく大都市特例として制定された暫定的な制度であったため、当初から『真の』大都市制度を求める動きを孕んでいた」
「大都市制度改革の主張は、経済のグローバル化や少子高齢化・人口減少社会の到来を背景にして行われている」「今日の大都市制度改革構想は、構造改革路線の中で生じたものであり、経済成長と行政改革・経費削減の二点セットで打ち出され、住民自治の視点が極めて弱いものである。短期的な成長戦略の手段として制度改革を行うことの問題性、また、政局の中で成立した大都市地域特別区設置法などを考えると、大都市制度改革の必要性とその方向性を、日本の地方制度全体の中でじっくり考えてみる必要があり、性急に大規模な制度改革をしてしまえば、住民自治の視点からも住民の福祉の観点からも後悔することになろう」
これらの問題は「大都市のみならず、地方自治体全体の問題としてサービス提供体制の持続可能性の問題に直面する。第30次地制調でも基礎自治体の問題が取り上げられ、…本書でもそれを検討の対象にしている。それは大都市制度の見直しは、他の基礎自治体や広域自治体のあり方に影響を及ぼさざるを得ないからである」(廣田全男)