「新しい時代の地方自治像研究会(財政研究会)」による2年間の研究成果をもとに、新しい時代の地方自治像と財政を探求し、内発的発展の地方財政論を提唱する。
地方分権一括法の制定を中心とした第一次分権改革から十数年が経過しましたが、「豊かな社会」をめざした分権の「夢」に対して、現実はほど遠いという他はありません。私たちのめざすべき維持可能な社会の目標は明確なはずです。平和・民主主義・基本的人権・貧困の克服といった人類共通の目標をめざして、足元から環境・経済・社会という3つの要素を維持していくために、地方自治の役割は大きいと言えます。
本書のタイトルにある「新しい時代」とは、グローバル化への対応のあり方が問われるなかで、維持可能な社会をめざして、新自由主義の超克を模索する時代と言えます。
本書が、新しい時代の地方自治像を模索するために改めて着目したのが、内発的発展論です。本書は内発的発展の地方財政論の提唱を行うことによって、日本社会における新たな地方自治の可能性を求める航海の出発点とすることを意図しています。