福島原発災害10年を経て

    福島原発災害10年を経て
    書籍名 福島原発災害10年を経て
    著者名等 鈴木 浩 (著)
    価格 ¥3,520(税込)
    発行年月日: 2021年12月25日
    ISBN-10 4880377341
    ISBN-13 9784880377346
    C-CODE C0036
    ページ数 298ページ
    本のサイズ A5

書籍の内容

10年は決して区切りではない。再建、再生の実際を問う。

東日本大震災・福島第一原子力発電所事故による原発災害から10年が経った。被災者の生活再建と、被災地の地域社会の再生はどこまで進んだのか。災害発生直後から福島県と浪江町、双葉町の復興ビジョンや復興計画の策定、そして仮設住宅の供給についての計画づくりに関わり、「ふくしま復興支援フォーラム」を立ち上げた著者が、被災者、被災地そして自治体のいままでの取組みとこれからの方策を語る。

目次

はしがき

序章 原発災害に向けた基本視角と本書の構成

Ⅰ部 原発災害にどう向き合ってきたか

第1章 福島原発災害の現実─その特質は何か─

  • 第1節 原発災害後3年(2014年3月時点)を迎えた時期の福島原発災害の実情
  • 第2節 福島原発災害の特質
  • 第3節 放射線量による「避難指示区域」の指定とその解除
  • 第4節 原発災害からの復興に向けた課題
  • 第5節 福島の歴史的・国土政策上の位置
  • 第6節 福島原発災害を福島に封じ込めないために

第2章 原発災害にどう向き合うか

  • はじめに─「福島復興再生特別措置法」(2012年3月)の理念─
  • 第1節 福島原発災害復興の困難性から見えてきた今後の課題
  • 第2節 原発災害克服の共通の課題と広域連携の方向

第3章 「福島県復興ビジョン」2011と「電源立地県 福島からの問いかけ あなたはどう考えますか?~日本のエネルギー政策~」2002

  • 第1節 「福島県復興ビジョン」
  • 第2節 「中間とりまとめ」2002の概要と教訓
  • まとめ

第4章 原発災害─避難所から応急仮設住宅・町外コミュニティそして復興公営住宅─

  • はじめに─「災害救助法」による避難所、応急仮設住宅─
  • 第1節 福島県における3.11への初動期対応の特質
  • 第2節 福島県における応急仮設住宅の供給
  • 第3節 木造応急仮設住宅の可能性─今後の課題─
  • 第4節 民間借上げ住宅
  • 第5節 長期化する避難生活と暮らし・地域の再生に向けて ─町外コミュニティ(「仮の町」)の形成─
  • 第6節 復興公営住宅の供給
  • まとめ

Ⅱ部 真の復興への課題

第5章 原発災害からの克服に向けて

  • 第1節 福島における原発災害とその復興過程の特質
  • 第2節 復興とはどうあるべきか
  • 第3節 広域的・長期的災害からの復興のめざすべき方向
  • 第4節 福島県民・被災者に寄り添った復興に向けて

第6章 帰還困難区域が抱える問題

  • 第1節 「帰還困難区域」とは─避難指示区域の変遷─
  • 第2節 避難指示区域と除染計画
  • 第3節 「帰還困難区域」と「特定復興再生拠点区域」
  • 第4節 「特定復興再生拠点区域の避難指示解除と帰還・居住に向けて」(原子力災害対策本部、2018年12月)
  • 第5節 「除染なき帰還困難区域の避難指示解除」方針の発表
  • 第6節 帰還困難区域への政府対応と被災自治体の対応
  • 第7節 帰還困難区域を抱える原発被災自治体の連携の方向
  • まとめ

第7章 長期的・広域的避難を支える支援のあり方

  • 第1節 被災者・避難者の実情
  • 第2節 被災者支援と避難者支援─原発災害が提起した問題─
  • 第3節 避難支援の法制度はどこまで充実してきたか
  • 第4節 避難者支援活動の蓄積と教訓
  • 第5節 避難者支援活動から見えてきた課題
  • まとめ─長期的・広域的避難生活を強いられている原発被災者の生活・生業再建とふるさとの復興・再生への思いに寄り添うには─

第8章 地域再生に向けた広域的な合意形成を目指して─「生活の質」「コミュニティの質」「環境の質」の実現─

  • はじめに
  • 第1節 福島における持続可能な復興と地域再生そして生活再建に向けた広域的な合意形成を目指して
  • 第2節 わが国における地域再生の全体を貫く基本コンセプト
  • 第3節 それぞれの質の指標化に向けて
  • 第4節 今後の展開方向について

第9章 復興に向けた広域的連携の方向と具体化のために

  • 第1節 原発災害への被災市町村の対応と広域的連携の必要性
  • 第2節 原発災害後の関連法制度
  • 第3節 日本学術会議からの提言
  • 第4節 自治体間の広域的な連携・調整の必要性
  • 第5節 広域連携の方向性
  • 第6節 福島原発災害からの復興に向けた広域連携のイメージ

第10章 中間貯蔵施設問題の視座

  • 第1節 中間貯蔵施設設置までの経緯
  • 第2節 2045年中間貯蔵施設の廃止(県外搬出)後の土地利用のあり方
  • 第3節 中間貯蔵施設問題の視座

第11章 原発災害からの克服をめざして

  • 第1節 「県民版復興ビジョン」の策定をめざして
  • 第2節 なぜ「県民版復興ビジョン」か ─「県民版」の意味─
  • 第3節 「県民版復興ビジョン」の骨子

第12章 原発災害を福島に封じ込めないために

  • 第1節 “福島封じ込め”の“布石”
  • 第2節 原発災害の過酷性
  • 第3節 「避難指示解除」はただちにふるさとへの帰還を実現できない
  • 第4節 厳しい復興の道筋だが
  • まとめ

あとがき