学童保育を哲学する 子どもに必要な生活・遊び・権利保障

    書籍名 学童保育を哲学する 子どもに必要な生活・遊び・権利保障
    著者名等 増山 均 (著)
    価格 ¥1,870(税込)
    発行年月日: 2022年9月20日
    ISBN-10 4880377473
    ISBN-13 9784880377476
    C-CODE C0037
    ページ数 150ページ
    本のサイズ A5

書籍の内容

子どもを真ん中に考える。

コロナパンデミックのなか、学童保育の社会的な役割が増しています。そこにはさまざまな運営主体が参入し、多くの人々が関わっています。いま「学童保育とは何か」「学童保育はどうあれば良いのか」という《理念の確認》が必要な時です。学童保育の歴史を見つめ、子どもの生活と遊び、権利保障のあり方、地域との連携、子ども観など、学童保育をめぐる基本問題を、子どもを中心に置いて熟考(哲学)します。

目次

目次 ●学童保育を哲学する
─子どもに必要な生活・遊び・権利保障─

まえがき

1 学童保育 ●その歩みと現状・課題

  • 1 「学童保育」誕生の背景
  • 2 子どもの居場所づくりは後回しにされてきた
  • 3 学童保育の設置数は、今や学校より多い
  • 4 学童保育の施設条件は今なお悪い
  • 5 「支援員は誰でもできる」と思われていますが、それは間違いです

2 「健全育成」とはなにか ●意味を問いなおし、安易な使用を避けること

  • はじめに
  • 1 学童保育の目的は、子どもたちの「健全育成」にあるのか?
  • 2 「健全育成」とは ●言葉成立の背景と歴史を探る
  • 3 「健全育成」とは ●「健全」に込められた意図
  • 4 「健全育成」の用語に含まれる問題点 ●子どもの「不健全」さにどう目を向けるべきか

3 学童保育における「保育」とはなにか ●《保育》概念の質的発展を探る

  • 1 「学童保育」という言葉の由来 ●その誕生の歴史
  • 2 学童保育の《保育》概念をどう理解するか ●統合概念としての《保育》
  • 3 学童保育が大切にすべき「育」の内容

4 「遊び及び生活の場を与えて」とは? ●放課後児童健全育成事業(学童保育)の目的

  • 1 法の規定をどう読みとるか
  • 2 《遊び》とは─与えられるものなのか
  • 3 子どもの「生活」とは─〈生活〉をどうとらえるか
  • 4 子どもの生活の変容と生活概念の変化
  • 5 子どもの遊び・生活の保障と「子どもの時間」

5 支援・指導とはなにか ●大人と子どもの関わり方を問う

  • 1 「指導(員)」と「支援(員)」の用語の背景を探る
  • 2 大人と子どもの関わり方の問題
  • 3 子ども主体の活動が起こる ●子どもの心が動くとき

6 こども・子ども・子供・児童の表記と子ども観 ●表記の裏にある思想と政策

  • 1 「子ども」の起源をさぐる
  • 2 各種法令における表記と年齢区分
  • 3 「子供」のなかに「こども・コドモ」を見いだす
  • 4 「子ども」のなかに込めた憲法、「児童憲章」の「子ども」観
  • 5 「子供」という表記復活の意図とその問題点
  • 6 用語の使い分けをめぐって

7 「子ども像」から「子どもたち観」へ ●学童保育における子ども把握

  • 1 子どもへのまなざしの違い
  • 2 「子ども像」ではなく「子ども観」を
  • 3 「子ども観」からさらに「子どもたち観」へ
  • 4 「子どもたち観」が生きる学童保育

8 子どもにとっての余暇・あそびとは何か ●気晴らし・ゆとりから生まれる想像力

  • はじめに
  • 1 子どもにとって「余暇」とは何か
  • 2 〈気晴らし〉の権利に注目すること
  • 3 子どもにとって「あそび」とは何か
  • 4 気晴らし・あそび・ゆとりが生みだす〈想像力〉への注目を

9 「声なきこえ」を聴き「なにげない時間」と
「名もない遊び」をも見守るゆとりを ●子どもの権利条約の視点を学童保育の中で生かす

  • 1 子どもにとって「一番いいこと」を考えあうこと
  • 2 子どもたちの声を聴かねば本当のことはわからない
  • 3 「声なきこえ」に耳を澄ますこと ●子どもの意見表明は言葉だけではない
  • 4 「名もない遊び」も大切な遊び
  • 5 「なにげない時間」を見守れるゆとりを持とう
  • 6 子どもの権利条約実現の先頭に立って

10 学童保育が地域に目を向ける意味 ●子どもの生活圏の拡大と地域づくり

  • 1 〈地域〉に注目する基本視点
  • 2 〈地域〉を空洞化させてはならない
  • 3 「放課後」と〈地域〉との違い
  • 4 子どもの発達のフィールドとしての〈地域〉
  • 5 〈地域〉に組み込まれた子育て力への注目を

11 子どもの権利条約と学童保育 ●学童保育実践を豊かにするための視点

  • はじめに ●採択から30余年、条約の意義を見なおそう
  • 1 学童保育の社会的根拠を明らかにし、条件整備を進めるための条文
  • 2 実践の質を問いなおし、日々の実践を豊かにしていくための条文

12 子ども時代は二度と来ない
●「子供」が「こども」でいられるための権利と「育」のあり方を探る

  • 1 「子ども観」の展開の歩みとその歴史に学ぶ
  • 2 子ども・子育てをめぐる状況をどうとらえるか
  • 3 「型にはめたい大人たち」 ●学童保育は大丈夫?
  • 4 子ども期の保障に不可欠な六つの「権利」と六つの「育」

13 「こども家庭庁」「こども基本法」の問題点とそのゆくえ
●デジタル社会の進展の中で

  • 1 国民が良く知らない間に決められた
  • 2 「こども家庭庁」とは ●首相と内閣府に権限が集中する
  • 3 「こども基本法」の問題点
  • 4 権利保障の実質化を

補論 放課後児童健全育成事業の目的及び制度内容
●『放課後児童支援員認定資格研修テキスト』(NPO法人・関西こども文化協会編集、フォーラムA)より

  • 1 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の意義 ●学童保育の法的名称は放課後児童健全育成事業
  • 2 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の目的・役割
  • 3 放課後児童健全育成事業に関する法律、政省令及び通知等
  • 4 「放課後児童クラブ運営指針」の策定
  • 5 放課後児童支援員の認定の仕組みの内容

あとがき

原題および初出一覧