自治体の上下水道

日本の水道事業は、明治20年(1887年)に横浜で初めて近代水道が布設されたことから始まりました。これは当時、外国の窓口であった港湾都市を中心に、海外から持ち込まれるコレラなどの水を介して広がる伝染病が蔓延するのを防ぐことを目的としたものでした。横浜に続いて、明治22年に函館、明治24年に長崎と、港湾都市を中心に次々と水道が整備されていきました。

その後二回にわたる大戦の影響で水道事業の整備が停滞したことで、昭和32年(1958年)時点では、給水人口約3,700万人、普及率約41%にとどまっていましたが、高度経済成長期に飛躍的な拡張をとげることになります。現在では、給水人口1億2462万人、普及率も97.5%(平成23年(2011年)末)に達し、「国民皆水道」がほぼ実現されています。

日本の水道システムは普及率のみならず、その水質の良さや漏水率の低さなどの観点からも、完成度の高い、主要先進国の中でも、一、二を争う高度なシステムとして知られています。例えば、日本では水道水を全国どこでも飲むことができますが、このような国は世界中で11カ国しかないといわれています。また、先進国の大都市における平均的な漏水率が約30%といわれる中、東京都水道局は約3%という驚異的に低い漏水率を維持しており、「世界最先端の都市水道モデル」として名を轟かせています。