国民のいのちを守るため、病床と医療スタッフを増やすべき

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新型コロナウイルス感染が全国に広がり、感染者数45万7680名で、無念にも亡くなられた方が8870名となっています(2021年3月22日現在、「NHKまとめ」)。治療を受けられている方へのお見舞いと、亡くなられた方にお悔やみを心から申し上げます。

自治労連は、コロナ危機から「住民のいのちとくらしを守りきる」ための政策提言(案)「保健所・公衆衛生版」を2020年10月12日、「自治体病院版」を11月30日、「生活困窮者支援政策提言」を3月1日に公表しています。ここでは、「自治体病院版」の要旨に、筆者が加筆「直言」いたします。

3月8日、東京など1都3県に出されている緊急事態宣言が2週間延長されました。菅義偉首相は、3月5日の記者会見で「次に感染者が多くなっても、しっかり病床を確保できる体制をこの2週間につくる」と述べました。しかし政府はコロナ禍の1年間、どのような医療政策を行ってきたのか、疑問を抱かざるをえません。

そもそも1983年に当時の厚生省保険局長吉村仁氏が「医療費増大は国を滅ぼす」といわゆる医療費亡国論を唱え、医療費抑制政策が進められていきました。そして最近では、診療報酬の連続したマイナス改定も影響し、病院経営においても「利益追求・効率至上主義」が、全国的に広まりました。こうしたことが、感染症病床やICU(集中治療室)病床等の削減を引き起こし、コロナ危機のもとで全国的に「医療崩壊の瀬戸際」に追い込まれています。

さらに、新型コロナ感染者を受け入れるためには、院内感染防止策、人員確保等も必要です。しかし通常でも、医療機関は医師・看護師等の人員不足と長時間労働が慢性化しています。さらに多くの病院では、通常提供している診療や治療、手術などの中止や延期、受診抑制による減収等、病院経営も極めて困難になっています。結果として、あってはならない「命の選択」もささやかれています。しかし政府は、コロナ治療最前線の「公立・公的病院の再編統合」を続行し、病床数を削減した医療機関への給付金として、来年度予算に約195億円を計上する本末転倒な政策を強行しようとしています。

コロナ禍で働く医療労働者の声は、「慢性的な人員不足」、「終わりのないたたかいに疲れている」、「院内感染の恐怖」、「現場間の応援体制では限界」、「家族が疎遠になった」など、1年以上も「悲鳴」が続いています。そして、退職を考える方も後を絶ちません。

「辞めないで看護師さん」と、みんなで声をあげましょう。もともと日本では、100床あたりの看護師数がドイツ・フランスの半分以下、アメリカの3分の1以下と、世界の先進国より極端に少ない状況にあります。さらに欧州連合(E)では、夜勤を伴う看護師の週労働時間を通常の日勤者より短縮しています。「病院職員に感謝する」というなら、政府は、多くの潜在看護師が働き続けられるようにかじを切り、看護師の「週休3日(週労働時間32時間以内)」の体制整備をはかり、給与改善と労働時間短縮を行うべきと考えます。こうしたことからも「安全・安心の医療・介護の実現と国民のいのちと健康を守るための国会請願署名」(いのち署名)の取り組みをすすめましょう。

増田 勝

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