公共を取りもどそう

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「こんなに医療や保健所が減らされていることを知らなかった」、「コロナで日本の医療政策の貧困さを目の当たりにしました」、「私の家の前が保健所です。この1年ほとんど夜中でも電気が消えていたことはありません。相当な労働だと思います。請願内容はもっともだと思います」、「命を守る人が疲弊してしまうなどあってはならないことです。私たちの命を守る方々が安心して仕事ができる体制をつくってください」。

自治労連が取り組んだ「ハガキ署名」に書き込まれた住民のコメントの一部です。公共の脆弱性が、住民の命と健康を脅かしていることを実感したからこその声です。

住民のいのちとくらしを守るには、公共を取りもどさなければならない。住民も、公務公共に働く者も、同じ願いになっています。

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医療や保健所・公衆衛生体制が不十分であること、大幅な拡充が必要であることは、コロナパンデミック以前から指摘されていました。政府の「新型インフルエンザ対策総括会議」は、2009年から2010年の「新型インフルエンザウイルス」流行時の教訓を受けて、2010年に報告書をまとめました。

「国立感染症研究所や、検疫所などの機関、地方自治体の保健所や地方衛生研究所を含めた感染症対策に関わる危機管理を専門に担う組織や人員体制の大幅な強化、人材の育成を進めるとともに、関係機関のあり方や相互の役割分担、関係の明確化等が必要である」と明記されています。

政府はこの報告書を10年間放置してきました。そしてパンデミック発生から今日まで実行しようとはしませんでした。その結果、「救える命が救えなかった」といわれる事態を発生させました。政治の責任は重大です。

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自治労連は、医療・保健所の実態調査を行い、2020年10月12日に「住民のいのちとくらしを守りきるための提言(案)─保健所・公衆衛生版─」、11月30日に「自治体病院版」の政策提言(案)を記者会見で発表しました。政府や各政党にも「提言(案)」を示し、速やかな対応を求めました。

同年12月末の地方財政計画案において、保健師を2021年度450名、2022年度に450名増員するための財政措置を示させました。2023年度にも人員増の財政措置が示されました。しかし、「人員体制の大幅な強化」には程遠い内容です。

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この3年間、何度も、何度も、厚生労働省や総務省などに住民の声と現場の実態を届けてきました。しかし、「国民のいのちを守りきる」という強い意志を政府から感じたことは一度もありませんでした。

一方で、人のいのちを奪うミサイルや武器などを購入する軍事費は倍増するという岸田政権に強い怒りを覚えます。

日本国憲法前文には「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」とうたわれています。

公共を国民・住民の手に取りもどし、憲法が規定する国政に転換するために力をあわせましょう。

小山 国治

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