北海道から九州まで38を数える独自の地域レベルの研究所ネットワーク(会員1万人)を持つ、1963年設立の自治体問題研究所編集。
地方分権改革・道州制、地方税財政改革、公共サービス改革など地方自治分野のほか、福祉やまちづくりなど地域・自治体にかかわる諸分野の制度解説・先進事例を、タイムリーに分かりやすく紹介します。
また、住民・自治体職員・地方議員・研究者の共同による、地域の課題解決に取り組む「まち研」や、わがまちの市町村財政分析活動を取り上げ、全国的な誌上交流の場ともなっています。
地域活動・政策づくりに取り組む皆さんをサポートする地方自治の総合誌です。
特集Ⅰは、「骨太の方針2015」以降、「公的サービスの産業化」として、企業奉仕の行政運営が徹底され、血税が企業の食い物となり、公共サービスの破壊が進んでいます。「全体の奉仕者」(憲法第15条)であるべき自治体職場の現状と課題を明らかにし、住民本位の行政への転換の方向性を考えます。
特集Ⅱでは、寄付額が1兆円を超えるふるさと納税について疑問を投げかけます。納税者が合理性を優先させた結果、多額の税収が無駄遣いされ未来を貧しくする制度はなぜこれほど魅力的なのでしょうか。また、認知度が低い「企業版ふるさと納税」も自治体の民主主義を大きく歪める可能性があります。談合事件も起きた今、どうすべきでしょうか。事例を踏まえながら考えます。
特集Ⅰは、2024年7月20日—21日に開催した第66回自治体学校in神奈川の概要を報告します。戦争するための国づくりへ、憲法に規定された地方自治を否定し、「地方分権」から「中央集権」に逆行する地方自治法の改定が強行されました。この重大な局面で開催された今回の自治体学校は、中山徹氏の基調講演、安田菜津紀さんの記念講演のほか、10分科会・2講座と2現地分科会で活発な学習が繰り広げられました。
本年6月19日の地方自治法「改正」は、国の自治体に対する無限定の「指示権」を与えるとともに、「指定地域共同活動団体制度」による共助のしくみづくりは公共サービスのあり方を大きく変えかねません。特集Ⅱは、改正地方自治法が地方自治の現場にどのような影響を与えるかを、自治体運営と公務労働の現場、そして住民自治の側面から検討します。
神宮外苑再開発によって、シンボルであるイチョウ並木の直近に野球場が建設され、第一期だけで3000本もの樹木が伐採されます。イチョウは400年以上の生命力の ある樹木です。外苑のイチョウは114歳。水循環を絶たれ、衰退・枯死に至り、貴重な歴史的文化的遺産が破壊されてしまいます。危機感をいだいた市民は、計画の見直しを求め、声を上げました。その声は、ますます高まり、広がっています。
神宮外苑再開発は、長い間、市民に親しまれてきた公園を潰して、そこに超高層ビルを建設し、公園を企業の稼ぐ場に変えようとする、市民不在の都市再開発事業です。
神宮外苑は都市計画公園であり、しかも風致地区なので、超高層ビルを建設することはできません。しかし、東京都は、「公園まちづくり制度」という独自の制度を創設し、都市計画公園の一部区域を公園区域から削除し、超高層ビル建設を可能にしたのです。
本特集は、神宮外苑再開発の問題点を徹底検証し、民主的なまちづくりのあり方を考えるものです。